福があるにも程がある! 〜残りものは、噂のイケメン御曹司でした〜

 こうしちゃあ、いられない。早く戦場に戻らなければ。

 そう思い、女子トイレの扉を開け会場に戻ろうとした私の視界に入ってきたのは、廊下にできている人の群れ。

 何事かと興味本位で覗いてみれば、私と同じ婚活パーティーに参加中であるはずの女性陣の中心に、スーツを着た男性が一人取り囲まれていた。彼は、世に言うイケメンで、この状況になった経緯は大体理解できた。

 恐らく、これは、この婚活パーティーに参加をしている男性で唯一のイケメンである彼の争奪戦。お手洗いや他の用事で会場から出た彼に話しかけるのが唯一二人きりで話せるチャンスだと読んだ女性がこれだけいたのだろう。


 よく見てみると周りは若くて可愛い女性ばかり。しかも、中心にいる彼はタイプであるかは置いておいて結構なイケメン。この婚活パーティーに参加しているということはそれなりに一流の企業に勤めているはずだ。

 こんなの、群れに加わったところで時間の無駄だ。負け戦に参加している暇なんて、私には一秒たりともない。

 ああ、この時間さえ無駄だった。


 私は、くるりと体を半回転させると、急いでその場を去ろうとした。すると。


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