人間複製機
昨日は弘樹から何度も電話がかかってきていたが、すべて無視をしたのだ。


「マキ。ちょっと話がある」


マナを押しのけてそう言う弘樹にあたしはひきつった笑顔を浮かべた。


みんなの手前無下にあしらうわけにもいかない。


大雅の姿を探したけれど、まだ教室には来ていなかった。


朝練があるのかもしれない。


あたしを守る存在がいない事に気が付いて、歯ぎしりをした。


「話からここでできるじゃん」


「2人で話したいんだ」


弘樹はそう言うとあたしを無理やり立たせた。


あまり嫌がっていると弘樹との間に何かがあると勘違いされる。


あたしは仕方なく弘樹について教室を出たのだった。

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