人間複製機
しかしナオはあたしではなく教室内にいる弘樹を見ていた。


「髪の毛染めてるじゃん。マキの話意識しすぎ」


そう呟いてプッと笑う。


「……ナオもそう思う?」


そう聞くと、ナオは笑い顔のままこちらを向いた。


「だって、あからさまに意識してるよね、あれ」


クスクスと笑いながらそう言うナオ。


「弘樹って、あたし事が好きなんだと思う?」


「たぶんね。イトコって子もマキにそっくりだったもん」


「それはただの偶然でしょ」


あたしはそう返事をしたものの、しばらく弘樹から目をそらす事ができなかった。


弘樹は今お金がある。


そんな弘樹があたしを好きかも知れない。


これはチャンスだった。
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