人間複製機
片手に乗るくらいの小さな箱……?


「それって、マジックの箱じゃない? よくあるでしょ素人でも簡単にできるマジックグッズ!」


ナオが思いついたようにそう言った。


「箱の話をしなくなったのは、弘樹が今一生懸命練習中だからとか? 上手になったら柚香に見せるつもりなんだよ」


そう言ったのはマナだった。


マナの言葉に柚香はまた頬を赤らめた。


あたしは3人の言葉をボンヤリと聞いていた。


簡単にできるマジックグッズなら、弘樹はとっくの前に柚香にマジックを披露していることだろう。


今はもう9月なのだから。


「気になるなぁ、その箱がなんなのか」


あたしはそう呟いたのだった。
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