人間複製機
弘樹なんかが持っていたって、ちょっといい物を持つくらいしか使い道もないようだし、機械だってあたしに持たれた方が嬉しいに決まっている。


そう思っていると、機械が出来上がりを教えた。


箱を開けるとそこには4枚の万札が入っていた。


それを手に取り、ニンマリと笑う。


複製された紙の熱は徐々に薄れて行き、やがてそれは本物そのものになった。


「ありがとう。また頼むから」


あたしはそう言うと、お金を大切に財布にしまって弘樹の家を出たのだった。
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