人間複製機
☆☆☆

お金が少なくなれば弘樹の家に行けばいい。


少しだけ我慢してキスをすれば、あたしの持ち金は倍になる。


そしてあたしは欲しい物をどんどん手に入れる事ができるのだ。


そのサイクルにハマる事に時間は必要なかった。


ブランドを購入した翌日も、あたしは弘樹の家にいた。


財布の中身は2万円だ。


昨日1日で一か月分のお小遣いを使ってしまったのだ。


「今日は2回使わせて」


弘樹の部屋に入ってそう言うと、弘樹は驚いたように目を丸くした。


「お金ってそんなに必要なのか?」


「当たり前じゃん。欲しい物がある限りお金は必要でしょ」


「それはそうだけど……」


と、弘樹は少し呆れ顔をしている。


そんな弘樹は少しだけ苛立ちを覚えた。
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