人間複製機
☆☆☆

弘樹の家から出る頃、あたしの財布の中身は8万円に膨れ上がっていた。


それはあたしのお小遣いの4か月分になった。


これほどの大金を手にしたことは初めてで、お札の数を数えている間興奮しっぱなしだった。


その足で再びデパートへ向かい、今度は服を買いあさった。


ブランド物より少し安くて、若い子に人気のメーカーの服をまとめ買いする。


それでもお金は十分余っていた。


あたしが欲しくて仕方のなかったものたちが、こんなにも簡単に手に入るのだ。


買い物をする時も値段を確認する必要がない。


欲しい物をどんどん手に取っていく事ができる。


それは快感だった。


今まで制御していた欲望が一気に溢れ出して行く。


あたしはずっとこんな買い物がしたかったんだ。


次から次へと欲しい物を選びながら、あたしは笑いが止まらなかったのだった。
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