人間複製機
嘘をついているという罪悪感はなかった。


複製機の事は誰にも言うつもりはないし、言っても信じてもらえないに決まっているからだ。


「いいなぁ、お小遣いの値上げ」


マナが羨ましそうに声を上げる。


「マナも家の手伝いを頑張ればいいんだよ」


「それはちょっと、めんどくさいよねぇ」


マナが苦笑いを浮かべてそう言った。


「マキが最近早く帰ってたのは、家の手伝いをしてたから?」


ナオにそう聞かれて、あたしは頷いた。


本当は弘樹の家に行っていたからだ。


「そうだよ。洗濯物とか夕飯の支度とか忙しかったんだから!」


大げさにそう言って見せると、2人はあたしへ尊敬のまなざしを向けてきた。


「学校から帰ってきてすぐに手伝いとか、無理」


ナオがそう言って左右に首を振って見せた。


「だよね。付かれて死んじゃう」


マナは大げさにそう言った。


「じゃあ、2人にはブランド物は無理だね」


あたしはそう言い、優越感に浸ったのだった。
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