人間複製機
思い出して身震いをした。


自分の中にあんな攻撃的な面があるなんて思ってもいなかった。


あたしはゴクリと唾を飲みこんで、テーブルに置いた複製機を見た。


明日になれば弘樹は複製機を奪いにくるだろう。


その前にできるだけ多く複製しておく必要がある。


あたしは震える手で財布を開け、1万円札を取り出した。


それを複製機の中に入れ、スイッチを押す。


1分間という時間がとてつもなく長く感じられた。


今にも弘樹が家に押し入って来るんじゃないかと、冷や冷やした。


けれどそんなこともなく、あたしは1万円札の複製に成功した。


2万円が入った箱をまた動かす。


2万円が4万円。


4万円が8万円だ。


どんどん増えて行くお金を見ていると、徐々に落ち着いて来た。
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