狂愛社長に溺愛されてます
「俺を好きって言葉以外聞かないから」



こんな傲慢なことを言いながら、まだ歩みを止めない熱樹さん。
あたしも後退りをして、そのまま壁にトンっとぶつかる。



「あ、熱樹さん……」



逃げ場がなくなって、彼の名前を呼ぶ以外になかかった。



「どうして俺を見てくれないんだろう」



熱樹さんの顔はひどく悲しそうで。
どうしてこんなに悲しそうな顔をするのかわからなかった。



「そんなにアイツがいいのか……」


「……熱樹さん」



〝そうじゃない〟って言ってあげたいのに。
こんな中途半端な気持ちでそれを言っていいのかわからなくて言葉にならない。



「……アイツは全部持ってくんだな」


「え……?」



熱樹さんの言う意味がわからなくて。

だって〝アイツ〟って風詩のこと。
風詩のことなんてただの自分の会社の社員なだけで、よく知らないはずなのに。



「夜、家に来い」



上から見下ろされ、言われた言葉に



「はい」



そう答える他はなかった。

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