狂愛社長に溺愛されてます
「今日から元の部署に行っていいから」



あたしの肩をぽんっと叩く。



「……え?」


「俺には秘書は必要ないから」



それだけ言うとそのまま歩き出す。



「待ってください!置いてあるものとかもあるし、朝だけ行かせてください!」



熱樹さんを追いかけて腕を掴む。



「君の私物は全部元の部署にあるから。もう必要ないんだよ。君は」


「なんなんですか!その言い方」



熱樹さんに反論したのはあたしではなく、風詩。



「ふ、風詩。いいから」



仮にもこの人は社長であって、風詩は新入社員。
あたしたちは理由がわかっているけど、ほかの人はわからない。
風詩が社長に偉そうな口をきいていたなんて、噂がたっては困る。



「いままでありがとう」



熱樹さんがあたしの頭をぽんっと叩く。



「……はい」



素直に従いたくなんてなかった。
社長室に行きたかったけど、熱樹さんには分厚い壁が見えた気がしたから。
もう、本当にあたしは必要ないんだと悟った。

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