すきらい。
せんせい!
「せんせー!」

「おう白石か、っておい!抱きつくな!!」
頬を赤くして慌てながら私を見る、大好きな人。

「えーだって先生が好きなんだもん!」

私は高校2年生の白石なつめ。私には大好きな人がいます。それは、担任である宮島先生。

「おまえなー、そうゆうこと大声で言うなっていつも言ってるだろーが。もし誰かに勘違いされたら困るだろ?」

先生はため息をつきながら私の腕を振り払う。

(そうだよね、勘違いされたら先生の立場がなくなっちゃう。先生のためにも好きな気持ち隠さなきゃ。)

「もし勘違いされて先生の仕事がなくなったら、責任とって私が養ってあげるよ!」

白石は自分の感情を隠すように笑顔を作った。

「はぁ?お前が俺を養うとか100年早いわ。」

先生はそう言いながら目の周りをクシャッとさせて笑った。

キーンコーンカーンコーンッ

「ほらほら授業始まるぞ。」
「はーい。」
残念そうな顔をしながら私は教室へ戻る。

「なつめ〜また先生のとこ行ってたの?」
この子は友達のゆき。
「そうだよ!」

「なつめってさ、なんでそんな先生のこと好きなの?」

「え〜それはねぇ」

〜回想〜

私は1年生のとき吹奏楽部に所属していた。
そんななか、学校に行く途中事故に遭い、怪我をしてしまった。それにより、大事な夏の大会に出場できなくなってしまったのだ。

「なつめ…あんたの分まで私たち頑張るから!なつめははやく怪我治してさ、応援しに来てよ!」

吹奏楽部のみんなが練習時間を削ってお見舞いに来てくれていた。

「うん…ごめん。ありがとう。私のためにも早く練習に戻って!」

心がついていけないながらも、みんなを不安にさせまいと最大限の笑顔をつくった。

「うん!練習にもどるね!じゃっ」


「はぁ、なんで私がこんな目に…。」
泣きそうになりながらも、周りの患者さんの迷惑になるのではと我慢していた。

ガラガラガラッ

「白石、調子はどうだ」

「えっ宮島先生どうしてここに?」

泣くのを我慢してるからかうまく顔を見れない。

「どうしてって、お前の担任なんだから来るのは当たり前だろ。それよりホントに大丈夫か…?」

「だ、大丈夫ですよ!体も全然動くようになってますし!めちゃ元気です!」

私はまた最大限の笑顔をつくる。

「……」

先生は困ったような怒っているような顔をして白石を見つめる。

「どうしました先生?」

「お前…俺が言ってるのは体の心配じゃなくて心の方だ。白石が朝早くから帰り遅くまで練習していたのを俺は知ってる!そんな作り笑顔はいらない。つらいならつらいって言え!泣きたいなら泣けばいいんだよ!」

顔を赤くして言う先生を見て、私はびっくりすると同時に嬉しくもあった。

「でたかった。大会出たかった…っ…。」

堪えていた涙が一気にこぼれ落ちていくのを感じた。

「そうだよなぁ。お前はよく耐えたよ。」

そう言いながら私の頭を優しく撫でる先生に、胸が高鳴るのを感じた。

(そっか、私先生が好きなんだ。)
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