アウト*サイダー

「ハスミ?」

 ケイに寄りかかって、目を閉じる。

 堀江君のあの表情も、あの目も、理由なんか知らない。どうして私だけ……とか、そんな悲観もしないけどさ。

 向けられる敵意を何でもないフリするのは疲れる。

 でも、ケイの温もりの中だとそれが忘れられる気がする。……根拠はないけども。

「甘えん坊だな、ハスミは」

 優しく抱き締めてくれるケイ。

 嫌じゃないかな。

 嫌にならないかな。

 我が儘で弱っちいくせに強がってばかりの私が、ケイの目にはどんなふうに見えてる?

「ハスミ」

「なに」

「ハスミが好きなの、やめられないから」

「…………私がやめてって言っても?」

 顔を上げる。ケイは私の頭を撫でて、静かに笑う。

「やめてあげないよ」

 好きでもないケイにこうして甘える私も私だけど、ケイはほんとにヤバい奴だ。

「……あっそ」

 それを面白がる私は、もっとヤバい奴かもね。
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