アウト*サイダー

 田口蓮美という人間が学校で悩まないことは今まで一度だってなかったのだから。

「ケンカじゃない」

 お母さんに反抗したって無駄だけれど、事実これはケンカではない。

 一方的に相手を傷付けるのは、ケンカではない。

 私はまたベッドに沈む。

 布団からはお日様の匂いがして、昼間お母さんが干してくれたのだと気づいた。

「……そう。じゃあ、好きな子でもできた?」

 今度はちゃんと疑問形だ。

「ちがう」

 布団の中からくぐもった声が出た。当ててくれないことにムズムズする子供みたいな返事だった。

 お母さんは「ふーん、そう」と言ってから、そうねぇ、とか、うーん、とか唸りながらベッドの端に腰掛けた。

「友達と何かあった?」

 最初と同じ質問に戻っているようで、母が全く別のことを聞いてきていることは理解した。

 『学校でケンカ』と『友達と何か』は私にとって意味が違う。
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