アウト*サイダー

 私は確かに覚悟をしていた。河西さん達と一緒にいたハルちゃんがまた私と一緒にいることで、何か言われるんじゃないかと。

 もちろん、彼女を擁護するつもりだったし、彼女自身もそれを分かってくれていた。

 ……なのに。

「今まで続いていた上靴隠しも、地味に腹立つこそこそ話しもないどころか、ハルちゃんへの嫌がらせもなくなって……まるで、一気に過去に戻ってきたみたいに元通りになってる!」

「もしかしたら私達、夢を見ていたのかもしれないね」

 あー。夢ね。嫌な夢だったな。悪夢だ。それも目覚めの悪いやつ。

「……んな訳ないよね、ハルちゃん」

 うふふ、と笑うハルちゃんの目の端にきらりと光るもの。

 これならいっそ、河西さん達にやっかまれていた方がましだ。反撃の仕様がある。

 こんなの、気持ち悪いことこの上ないわ。

「あんなもの見ながら食べてたら吐きそうだから場所変えよう」

「ハスミちゃんの目に、どう映れば吐き気を催すのか分からないけど良いよ」

 うん、夢は見ていなかったのは確かのようだ。だって、ハルちゃんが私に向ける言葉に遠慮がなくなった。

「ハムスターからハリネズミになれたのね。うむ、良きかな。針を持ちながらも、その可愛さは衰えぬ」

「ハスミちゃん、変だよ?」

 笑顔でチクチク刺してくるの……良き。
< 286 / 466 >

この作品をシェア

pagetop