アウト*サイダー

 フードコート内は昼前の時間だが混みあっていて、空いている席を探すだけで一苦労した。

「やっぱり夏休みだから人がすごいねぇ」

 普段なら、こんな人混みでつい愚痴をこぼしてしまうけれど、ハルちゃんが特段気にした様子もなく笑って言うから、私も「だねぇ」と笑えてしまう。

「何食べる? あ、あそこのパスタ美味しいよ」

 ハルちゃんが指差した方を向く。洒落た看板と美味しそうなパスタの写真が並び、いかにも女子ウケしそうなお店だ。

「じゃあ、そこにしよ。お腹空いた……」

 グゥ、とタイミング良く鳴るお腹を押さえ、力なく猫背になる私に、ハルちゃんがうふふと笑う。

 そんな何でもない笑顔に、じんわりと温かい気持ちになった。

 クラスのことはまだ終わってないと思う。一度植え付けられた、人からの格付けは簡単に覆せるものではない。

 学校が始まればハルちゃんは、もちろん私だって、はみ出し者には変わらないだろう。

 河西さんが、このまま大人しくしてくれるとも言いきれない。彼女の性格は今に始まったものではないらしいのだから。

 堀江君が聞いた話によると、中学生の時から彼女はクラスを自分のものにして、良いようにしていた。担任でさえも彼女に逆らえなかったという。
 
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