ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
はじまりの、はじまり
 一年後…。



「あっという間ね、一年って」

研究所の吹き抜けの研究室で、一年点検を受けるロイを見上げながら広海君が呟いた。

「ねぇ、これからまた一緒ね」

とそっと寄り添って、僕の手を握ってくる広海君。

「そうだね」

この一年間、どれだけこの日を待ち望んだコトか。

「ねぇミライ」

と広海君が僕越しに、並んで立つミライに声を掛けた。

「ありがとう。しっかり先生のコト掴まえててくれて」

とウインクする広海君。

「フフッ。どういたしまして」

と微笑み返すミライ。と、広海君が僕の手を握ったまま向き直って、僕の前に立った。

「ねぇ先生、これから私も、先生んちで一緒に暮らしてもイイ?」

と首を傾げる広海君。もちろんイイよ。

「あっ、でもミライがいるんだよな」

どうしよう。と、広海君がミライの手を取って引っ張り寄せて僕の前に並んだ。

「だったらねぇ、ミライも一緒に三人で暮らさない?」

って、ええっ?
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