探偵喫茶へようこそ
知由の声により、二人の視線はパソコンの画面に集中する。
だが、そこは意味のわからない文字があるばかり。
代わりに、ドアに設置された爆弾に目を移す。
残り、二分。
まだカウントダウンが止まっていない。
おそらく、止めては動かされ、止めては……の繰り返しだったのだろう。
「一弥、滋!」
知由は必死な形相で二人を呼んだ。
「解除した瞬間、ドアを蹴り飛ばせ。時間は一秒あるかないかだ」
「ドアを壊したら、無条件に爆発するんじゃ……」
知由の指示に、滋はうろたえる。
「だから、解除した瞬間と言っているだろう。私が解除し、相手がまたカウントダウンを始めるまで、わずかな時間差がある。その隙を狙え」
「……チャンスは一度きりってことか」
一弥は急に任された仕事が大役だったため、全身に緊張が走る。
「タイミングが少しでもズレたら、全員死亡だ。三、二、一でエンターキーを押す」
「……了解」
一弥と滋は揃ってドアの前に立つ。
準備完了であることを確認した知由は、カウントダウンを始める。
「三……二……一……!」