探偵喫茶へようこそ


知由の声により、二人の視線はパソコンの画面に集中する。


だが、そこは意味のわからない文字があるばかり。


代わりに、ドアに設置された爆弾に目を移す。



残り、二分。



まだカウントダウンが止まっていない。


おそらく、止めては動かされ、止めては……の繰り返しだったのだろう。



「一弥、滋!」



知由は必死な形相で二人を呼んだ。



「解除した瞬間、ドアを蹴り飛ばせ。時間は一秒あるかないかだ」


「ドアを壊したら、無条件に爆発するんじゃ……」



知由の指示に、滋はうろたえる。



「だから、解除した瞬間と言っているだろう。私が解除し、相手がまたカウントダウンを始めるまで、わずかな時間差がある。その隙を狙え」


「……チャンスは一度きりってことか」



一弥は急に任された仕事が大役だったため、全身に緊張が走る。



「タイミングが少しでもズレたら、全員死亡だ。三、二、一でエンターキーを押す」


「……了解」



一弥と滋は揃ってドアの前に立つ。


準備完了であることを確認した知由は、カウントダウンを始める。



「三……二……一……!」

< 32 / 156 >

この作品をシェア

pagetop