探偵喫茶へようこそ
「あの……」
二人の会話が終わったと見た一人の少女が、おずおずと声をかけた。
見たところ、知由より少し年上のようだ。
「その子は一番に誘拐された子よ」
馴れ合う気はないと言っておきながら、友奈は知由に説明した。
「名前は?」
「高塚陽茉莉(たかつかひまり)です……」
陽茉莉はなぜか知由を怖がり、敬語で答えた。
しかし、知由は気にせず続ける。
「陽茉莉。お前はいつからここに監禁された?」
「三日前だったような……」
ずっと薄暗い倉庫の中にいたとなれば、時間の感覚などないに等しい。
そんな陽茉莉が三日と考えたのは、出された食事の回数が今日までで八回だったからだ。
「となると……犯人はあたしの情報が流れるより先に、あたしを見つけていたとなるか……」
知由は腕を組み、考え込んでいる。
「ていうか、さっきからあんたに巻き込まれたっていうテイで話が進んでるけど、そう思う根拠はなに? もしかしたら、ただ単に誘拐されたとは思わないわけ?」
知由に巻き込まれたとなれば、知由のせいにできる。
しかし根拠が薄い。