探偵喫茶へようこそ


「……悪かった」



自分の仕事にプライドがあるのは、正広たちも同じこと。


それをわかっているからか、正広は頭を下げた。



「わかってもらえたならいいよ。それで、目撃者なんだけど、ホームレスだよ」


「ホームレス? 事件が起きた付近のホームレスなら、話を聞いたが……」



滋たちの席に近い刑事が、口を挟んだ。



「みんなさ、どこで聞き込みしたの?」



滋は純粋にそう思った。


誰も答えず、近くの人と顔を見合わせてるだけだ。



「親がいなくなったと連絡してきたところに決まってるだろ」



すると、正広が当然と言わんばかりに答えた。


その答えに、みなが頷く。



「警察って……馬鹿なの?」



滋がそう言った瞬間、全員の額に血管が浮かび上がった。



「なんだと?」


「だってさ、ホームレスってどこにでもいるんだよ? 一定の場所に留まってるとでも思ってるの?」

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