夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【モニカ21歳/自宅】

「……おやすみ」

スヤスヤと眠ったのを見届けると、私はそっと娘のジェシカの頭を撫でて子供部屋を後にした。
普段ならそのまま夫婦の寝室に行き夫と共に眠るのだが、今夜はまだ眠くない。

いや、実は最近ベッドに入ってもなかなか寝付けないのだ。
親友アカリの事が心配で……。

四月の初めに行った彼女の娘ヒナタちゃんのお誕生日会で久々に顔を合わせたが、あの時の様子が頭から離れない。
なぜなら”幼馴染からプロポーズされた”と、報告をしてくれたアカリの表情はちっとも嬉しそうじゃなかった。


「……何で”いいと思うわ”、なんて言っちゃったんだろう」

自分が言ってしまった言葉に、今更後悔が溢れ出す。

アカリに幸せになってほしいと思った。
一人で二人の子供を抱える彼女に、母親としてではない喜びをもう一度感じてほしいと思った。
< 59 / 322 >

この作品をシェア

pagetop