悪魔の囁きは溺愛の始まり
「仕事的には渡部さんは信頼されてる。だけど恋愛は別。」

「別?」

「青山インテリアは親族経営をずっとしてる。この先もきっと変わらないと思う。」


渡部さんに父のポリシーを伝えた。


「父は私の社内恋愛を禁止してる。それは『私の家柄を手に入れたい』『この会社の経営を手に入れたい』、そんな男が近づいてくると思ってるから。」

「………。」

「私は渡部さんを尊敬してるし、父や兄も仕事では渡部さんを信頼してると思う。」

「………。」

「そこに恋愛が絡んだら、きっと渡部さんの立場は一気に悪くなる。」

「………。」

「だから渡部さんとは付き合わない。私は渡部さんを尊敬してるから。潰されたりしたら嫌だから。」


そこまで話すと渡部さんから視線を外し、会議室にある椅子に腰掛けた。

資料をテーブルに置くと渡部さんを見た。


「渡部さん、仕事でしょ?始めますか?」

「………ああ。」


私の言いたい事は理解してくれたのだろう。渡部さんと打ち合わせを始めた。
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