『来年の今日、同じ時間に、この場所で』

決意

篤志にしても、花音さんにしても
2人とも優しくて良い人で。

それなのに2人を傷付けてしまった後悔の波が押し寄せる。

篤志も花音さんも私の背中を押してくれた。
それでも、私がベンのところへ行くのは正しいのか、わからなかった。

でも…
私の心の中には、いつもベンがいて
3月25日は、私にとって特別な日であることは変わらなかった。


「真凛、いつまでも考えてたって始まらないんだから!」

久しぶりの未来からの電話は、怒涛の説教だった。

「今、行かなかったら、前田のやつ。アメリカ行き決めちゃうかもよ?」

「アメリカ?」

「仕事のオファーが来てるの!花音さんがいたから、ずっと断ってたけど今となっては思い残すことがなくなったからアメリカ行き決めちゃうかもよ!そしたら、今度いつ帰ってくるかわからないよ!」

「そうなの…アメリカか。遠いね。」

「遠いね!じゃないの!いいの?もう一生逢えなくても後悔しない?」

「でも、折角自分だけの為の人生歩もうとしてるんだし。」

「あー、もー、なんでそうなのよ!真凛が前田のこと諦めきれるならいいよ!忘れられるならね!」

「そんな、とっくに諦めてるから。」

「あっそ!私に嘘つくのね?真凛が自分にも私にも嘘つくなら、もうゼッコウするから!」

「未来ったら、ゼッコウなんて小学生じゃあるまいし。笑」

「本気だからね!」

「未来〜。」

「甘ったれてないで!さっさと前田のとこ行ってこいっ!好きなら好きって言ってくればいいじゃん!嫌がられても煙たがられても、真凛が前田のこと嫌いになれるまでくっついてろ!」

「そんな無茶な…」

「あっそー。じゃあ私とゼッコウしたいのね?」

「わかったよぉ〜。」

無茶苦茶なこと言ってるけど、私を変えさせようとしてくれているのがわかった。

みんなに後押しされて、それでも動かない自分が嫌になった。

「未来?」

「なによ!」

「大好き!ありがと」

「私に言ってどーすんの!」

「いいの!ほんとに大好きだから!」


そうだよね!
忘れられなくて悶々としてるなら、
私がベンを嫌いになれるまでシツコク追い回してやればいいんだよね!

嫌いになれたら楽だなんて思ってたけど、
まだ何にもしてなかった。

未来!気づかせてくれてありがとう。


私は、決意した。

ベンに逢いに行く。

そして、「大好きだ」って伝えるんだ。

12年分言えなかった、この言葉を
12年分伝えるんだから!




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