ウソつきオオカミくんのお気に入り
・リンゴちゃんと素直な気持ち
◇
雄也と会ってから、何時間が経過したんだろう。あの後、雄也がわたしに近づいてきたとき。
咄嗟に胸を押した。キス、されると思ったから。
『……ごめん』
『ううん、私こそ……』
ばつが悪そうな顔をして、深々と頭を下げる雄也を見て、悪気がないってことは痛いほどわかった。でも同時に気づいてしまったの。
やっぱり、キスって好きな人じゃないとできないよ。もちろん、その先だって。
郁也が好きだから、キスされても許せたんだって。触れられても怖くなかったんだって。
送っていくって言う雄也を押し切って、ひとりで家に帰ってきてから。ずっと自分の部屋に篭って考えていたけど……私の選択は間違ってないよね。
『ごめん、雄也。わたし、郁也が好きなの』
あの時、最後に私が言った言葉。雄也は無理に笑ってた。
『じゃあ最後に、お節介させてよ』
そう言いながら帰って行った。お節介って何のことなのかわからないけど、傷ついた顔をするから何も言えなくて。
ホントは、笑えるはずないよね。
うちは両働で夜勤族だ。今日はお母さんもお父さんもいないらしい。こういう時に誰かと話していた方が気がまぎれるのに、家でひとりなんて余計にいろんなことを考えてしまう。
好きなのに手放してしまった、好きだから、手放さなきゃいけなかったのかな。
雄也と会ってから、何時間が経過したんだろう。あの後、雄也がわたしに近づいてきたとき。
咄嗟に胸を押した。キス、されると思ったから。
『……ごめん』
『ううん、私こそ……』
ばつが悪そうな顔をして、深々と頭を下げる雄也を見て、悪気がないってことは痛いほどわかった。でも同時に気づいてしまったの。
やっぱり、キスって好きな人じゃないとできないよ。もちろん、その先だって。
郁也が好きだから、キスされても許せたんだって。触れられても怖くなかったんだって。
送っていくって言う雄也を押し切って、ひとりで家に帰ってきてから。ずっと自分の部屋に篭って考えていたけど……私の選択は間違ってないよね。
『ごめん、雄也。わたし、郁也が好きなの』
あの時、最後に私が言った言葉。雄也は無理に笑ってた。
『じゃあ最後に、お節介させてよ』
そう言いながら帰って行った。お節介って何のことなのかわからないけど、傷ついた顔をするから何も言えなくて。
ホントは、笑えるはずないよね。
うちは両働で夜勤族だ。今日はお母さんもお父さんもいないらしい。こういう時に誰かと話していた方が気がまぎれるのに、家でひとりなんて余計にいろんなことを考えてしまう。
好きなのに手放してしまった、好きだから、手放さなきゃいけなかったのかな。