ウソつきオオカミくんのお気に入り


「もーうるせえな。そんだけ自信あるんだろ? ギャーギャー騒ぐな。」

「これが騒がずにいられるか!」

「俺ちょうど、女には飽きてるところなんだよねー。寄ってくる奴らも鬱陶しいし。だったらこーやってゲームしてた方が楽しいでしょ? 虫除けにもなるし」

「そんなのアンタの勝手だしっ…」

「何? 俺のこと好きになっちゃう? もしかして賭ける自信ない?」



見上げた先に至近距離でニヤリと笑うイケメンがいた。

む、むかつくにも程があるわ!



「ふざけんなっ! 絶対、好きになんかならないんだから!」


「んじゃ交渉成立。せいぜい楽しいゲームでもしよーよ?」



ハッと我に帰る。もしかして私またハメられた……?!

ニヤリとまた笑って、するすると私から手をどかす。


「じゃあ、今日からよろしくね、林檎チャン」

「よ、よろしくとか……」

「往生際悪いなー。カレカノなんだから、これからは郁也(いくや)って呼んでね?」

「よ、呼ぶかーーーっ!!」



ヒラヒラと手を振りながら去っていくイケメン____西条郁也(さいじょう いくや)。

ていうかいつの間にか口調がまた王子様風になっていたのは気のせいだろうか。

奴はどうやら表の顔と裏の顔があるらしい。



ああ、入学早々本当にツイてない。いるかどうかはわからないけど、天国の神様仏様。

私の高校生活、大丈夫ですか?


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