ウソつきオオカミくんのお気に入り


私のすぐそばで足音は止まった。

覚悟を決めて閉じていた目を開ける。顔はあげられなかった。

目の前には、私と同じカラーのスリッパを履いた男の子の脚。てことは1年生か。

って、そんなことはどーでもよくて!

誰もいないとはいえ学校という公共施設、しかも入学式真っ最中に、女の子とイチャコラしちゃうような男。

絶対絶対、ヤバイ人に決まってる!


「……オイ、顔上げろ」


低い男の声が降ってきた。
これはきっと、本気でヤバイやつ。ヤンキーか、ヤクザか、ああもう私の高校生活どころか人生までも終わるかもーー 。


「あげろっつてんだろ?」


なかなか顔を上げないあたしにイラだったのか、男はわざわざしゃがみ込んで、ぐいっと私の顎を持ち上げた。


こ、コロサレル!!

そう思いながら見上げた先には。



「……」



言葉を失うほどのイケメンが、いました。


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