誠の華−ヒルガオ−

江戸へ





禁門の変の幕が閉じ、京も落ち着いて来た頃に雪は近藤に呼び出されていた。


「近藤さん、雪です」


「入りなさい」


スッ


非番の為、着物に身を包んでいた雪は丁寧に襖を閉めて近藤の前に座った。


中には近藤以外に土方、平助もいる。


なんの話かまったく想像がつかずソワソワする気持ちを押さえ込んで勇さんが口を開くのを待つ。


「実は最近隊士の脱走が絶えなくてな。だから募集を掛けに江戸へ行こうと思う」


池田屋事件以降、新撰組では脱走が絶えず起こっていて他の隊士達の士気も大分下がっていた。


また、京の地形に詳しい者だと逃げ切られてしまう経験の下で勇さんは江戸に目をつけたのだとか。


「良いじゃないですか。気をつけて行って来てくださいね。ところで私を呼んだのはなぜですか?」


< 193 / 258 >

この作品をシェア

pagetop