まりあ様のおみちびき~秘密の妹は農家の天使⁉~
第11幕・芽吹きし種子
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第11幕・芽吹きし種子

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 翌朝から昼まで、時間をかけて土を耕した。
「ふう」
「わんわん」
「わんわん」
 つるとべにらも騒いでいる。
 私は金になった髪を弄りながら、休憩した。
「熱い……」
「うん」
 チトセと首肯く。
「こら、サボるな!」
 イーナが叫んだ。
 やがて、土を耕した。
 種子を植える。
「あー楽しみだな」
 チトセがいう。
「うん」

。.:*:・'°☆

 やがて、五日経った。
 時々人間界にも戻ったりもした。
「あ」
 私は驚く。
「兄様、兄様、芽吹いてるわ!」
「おお」
 兄は感激した。

 私は漆黒のドレスを揺らして立ちあがり、詩を詠んだ。

「命孕みし土よ
母なる大地よ
神の祈りに祝福されし命よ
その母体よ仔の穏やかな小夜曲であれ」

 ぴゅぴゅ…と音楽が奏でられた。
 振り向くと、イーナがオカリナを吹いていた。

「命孕みし土よ
母なる大地よ
神の祈りに祝福されし命よ
その母体よ仔の穏やかな小夜曲であれ」

 私は音調をつけて唄った。
「なんだなんだ?」
 農夫達が騒ぎはじめる。

「命孕みし土よ
母なる大地よ
神の祈りに祝福されし命よ
その母体よ仔の穏やかな小夜曲であれ

闇の中芽吹くその光よ
ささやかな神からの贈り物
我々の食卓にあがらん
祝いの祭典」

 やがて、手拍子が産まれる。

 歌詞が増えていく。

 喜びが広がっていく。

「命孕みし土よ
母なる大地よ
神の祈りに祝福されし命よ
その母体よ仔の穏やかな小夜曲であれ

闇の中芽吹くその光よ
ささやかな神からの贈り物
我々の食卓にあがらん
祝いの祭典

芽吹きしうすみどりの葉よ
とこしえにかがやく(みどり)
大陸に光を
この調べと共に

いざゆかん漆黒の大地に

灯すみどりの青き陽光よ

いざ我らゆかんあらたな世界グリーンピース」

「「おおー!」」

 農夫達が喜ぶ。子供達が笑う。
「きゃうんきゃうん」
 犬が吠える。
 それは、大地から芽吹きし血潮の(うた)だった。

≪続≫
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