気高き国王の過保護な愛執
突然、びくんとルビオの全身が跳ねた。


「あ!」


悲鳴をあげる。フレデリカは駆け寄って手を取った。筋が浮き出るほど強張った指は、フレデリカの手の甲に食い込んだ。

男はさっと球を懐に戻し、「目を開けて!」と鋭く命じる。

ルビオの瞼が開いた。一瞬で髪を濡らすほどの汗をかき、肩で息をしている。

目は天井に向けて見開かれ、どこも見ていないように見える。

傍らの水差しに、フレデリカが手を伸ばしたときだった。


「クラウス」


喘ぎながら、ルビオが言った。

クラウスを呼んでいるのかと思った。しかしすぐに違うと気がつき、フレデリカは自分が青ざめるのを感じた。

青い小瓶を、持っていた男。ルビオの"知っている"誰か。

まさか──…。

ルビオが顔を手で覆い、悲痛な叫びを発した。


「クラウスだ──…!」



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