気高き国王の過保護な愛執
美しい笑顔を向けられたイレーネの眉間のしわが、いっそう深まる。

においをかぐように鼻を動かしてから、王女は疑わしげにクラウスを見上げた。


「へんね、なにか違うわ」


クラウスが困惑したように、かすかに首をかしげる。

フレデリカも、イレーネが言わんとするところを理解しかね、「なにがでしょう?」と尋ねた。


「気持ち悪いわ、違和感がある」

「イレーネ様…」


ぎゅっと寄せた眉の下で、イレーネは目をすがめた。

はっとクラウスが、わずかに身を引いた。


「あなた、本当にクラウス?」


フレデリカは見逃さなかった。

王の忠臣の顔によぎった、一瞬の狼狽と、冷酷な色を。



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