気高き国王の過保護な愛執
空気が動き、ろうそくの火が揺れてジッと音をたてる。


──あなたはこの国の王、ディートリヒ二世陛下になられたのです。


荷物のように連れ去られ、馬車に放り込まれたところで、ゲーアハルト卿はそう告げた。ほかの人間を含め、それ以上の説明をくれた者はいなかった。


"あなたはこの国の王"


バカバカしい!

笑えたのも一瞬だった。ほかに、いったいどんな出自があり得た?

神経が冴え、かすかな物音、遥か遠くの木々のざわめきさえもが、鮮明な感覚となって殴りつけるように飛び込んでくる。

血脈。

これがいつも恐ろしい。

いつか侵略され、自分を失う気がする。


フレデリカ。

どうか、おれのそばにいて。


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