華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~


手渡しされ、不審ながらも恐る恐る袋を開く。

そして箱の蓋を開けると、中には眩いばかりに輝く宝石のついたネックレスが入っていた。


「これは?」


「この国では結婚をし夫になった者は、妻に"これから末永く共に"、という意味を込めて装飾品の贈り物を致します。まだソフィア様は貰っておりませんでしたよね?」

「……ええ。だけど」


末永く……って。

私は微塵にもそんなふうに思ってもいないのに。

この国での常識とはいえ、律儀に習わなくてもよいのに。


「身に付けましょうか?お手伝い致しますわ」

「いえ、いいわ。こんな派手な物、私には似合わないもの」



気持ちの篭らない、ただ派手なだけの装飾品などつけられるものか。

ましてや王子の贈り物なんて……。


ネックレスを手に取ることなく、私は蓋を閉じた。


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