あべこべの世界
不細工カップル
 鏡の中にさえないひとりの女がこっちを見ている。

 少し垂れ小さく離れた目、それに左右不対称。

 鼻筋のとおっていない低い鼻。

 輪郭のはっきりしない口元。

 まだ二七歳だというのにホウレイ線もくっきりで少しでも下をむくと二重あごになる。




 不細工だ。



 美人とはほど遠い。

 でもこれがわたしの顔なのだ。

 いちおう化粧には時間をかける。

 最近はインターネットやテレビなどで、メイク前、メイク後のびっくりチェンジを冷やかすような動画や番組があるけれど、すべての人がそこまでメイクだけで変われるものじゃない。

 そんなことができるのは、本当にごく一部の人だと思う。

 わたしはメイクに四十分かけるけれど、すっぴんに比べたらマシにはなるていどで、美人と呼ぶにはほど遠い仕上がり。

 やはりもとが不細工だと人が振り返るような美人には決してなれないのだ。
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