夢から醒めた夢



「何度もヤることヤってんのに、恥ずかしがるんだな」



平然とそんなことを言われる。

それでまた、頬が熱くなる。



「やっぱり、可愛いな」



そんなこと言われたら、もっと顔が赤くなる。

可愛いなんて、男から言われた覚えはないのだから。

これだけでもう、嬉しいとか幸せを感じるとか、ヤバイ気がする。



「ちょっとごめん。……なに?」



だけど最近、彼のスマホに電話がかかってくることが多々ある。

さすがに、ヤっている最中には出ないけど。

その電話の相手は、女だった。

話しの内容までは聞こえないけど、声が女だった。

女の電話に出るということは、相手は私だけじゃないということだ。



「わぁっ」



電話が終わったのか、急に後ろから抱きつかれる。



「愛梨、今度は和食がいい」

「和食?」

「肉じゃがとかいいな」




< 71 / 140 >

この作品をシェア

pagetop