イジワルなくちびるから~…甘い嘘。【完】


――翌日、金曜日……


まだ少し腫れている瞼を気にしながらギャラリーを訪れたお客様と雑談を交え絵の説明をしていたら、飯島さんが近付いてきてカフェのカウンターを指差す。


「宇都宮さんに内線よ」


……内線?


不思議に思いつつカウンター内の受話器を取ると、私に外線が入っているとのこと。わざわざ会社経由で電話を掛けてるくるなんて誰だろうと点滅している外線ボタンを押してみれば……


『……お仕事中にごめんなさいね。どうしてもあなたと話しがしたくて……』


あっ! この声はもしかして……


少しぼんやりしていた頭が一気に覚醒し、思わず「裸婦画!!」と叫んでいた。


その電話の相手は、嘘の悲恋話しでまんまと私を騙し、裸婦画を百万円も安く手に入れたあの詐欺師の婦人だった。


下手をすれば捕まるかもしれないのに、どうして今になって危険を冒してまで私に電話を掛けてきたのか?……その最大の疑問は会って話したいと言う。


なんだか分からないけど、とにかく会わなきゃ……


慌てた私は飯島さんに事情を説明し、早めの昼休みを貰って会社のビルを飛び出す。そして婦人が指定した会社近くのホテルのティーラウンジへと急いだ。


息も絶え絶えにホテルに到着してティーラウンジを見渡していると、ひとりの女性が立ち上がり、私に向かって深々と頭を下げた……のだが、すぐにはあの婦人とは気付かなかった。


えっ? この人があの詐欺師婦人?

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