君が好きなんだ。
「えっ?」
「はっ?」

斉藤くんと同時に聞き直してしまった。須田くん、今何て言ったの?『好き合ってる』?

「オレは沢村が好きだし、沢村もオレが好き。これって充分口出しする権利あるだろう?」

相変わらず淡々とした口調の須田くん。須田くんが私を『好き』?

「気持ち、ちゃんと確かめたのは金曜日だから、まだちゃんと話し合えてなくて。今日ちゃんと話そうと思ってたんだ。だから、斉藤。沢村は渡せない。諦めて」

須田くんは握った手を更に引き寄せ私を須田くんはの胸の中におさめた。

「…オレ、人のモノには興味ないんで。じゃ沢村さん、今度みんなで行きましょう」

前に私が言ったように『みんなで』を強調し斉藤くんはきたエレベーターに乗り消えていった。

私はまだ今の状況についていけなくて呆然としていた。

「沢村」

頭の上から須田くんの声がして我にかえった私は勢いよく須田くんから離れた。

「あ、ありがとう。須田くん、ごめんね。なんか巻き込んじゃって…もう大丈夫だか「沢村」」

私の言葉を遮った須田くんは今度は優しく私の手を包み『帰ろう』と言った。
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