君が好きなんだ。
穴があったら入りたい、とはこの事だ。
私は足元からうなだれしゃがみこんでしまった。

「おーい、沢村?」

ニコニコと楽しそうな声で須田くんが私を突っつく。

「ごめんなさい!」

「なんで謝るのさ?」

いきなり頭を下げた私に須田くんは笑いながら聞く。

「だって…フラレても好きだ、とか私、いろいろ熱弁してて、ストーカーって言うと自分が可哀想だから言わないけど、それに近いものがあるって言うか…重い女みたいだし、なんか…」

ぐずぐずと言い訳を並べるけど全然フォローになっていない気がする。

「なんで?嬉しかったから今オレここにいるんだぞ」

「嬉しい?あれが?」

「あぁ。それと焦った。『好きの種類』が変わる前に、好きになる可能性のあるヤツに出会う前に、オレのモノにしなきゃ!ってな」

「須田くん…」

ボロボロと涙がこぼれ落ちてくる。そんな私をみて須田くんは優しく笑って

「沢村、好きだよ。オレと付き合って?」

私は言葉にならずに何度も何度も頷いた。須田くんは『やった』と小さく呟いて私を抱き寄せた。

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