極上の恋愛はいかが?
01 物事は突然に
ことの始まりはほんの小さなことだった。
高原 莉央(たかはら りお)が短大卒業後に運良く内定が決まり、
勤続5年目になる会社はアパレル関係を手広く手がけて今ノリに乗っている。

比較的若い社員が多く、なんと言っても若くして会社を立ち上げた社長 須郷 悠真(すごう ゆうま)は能力だけではなく、
誰もが見惚れてしまうであろう整った顔立ちとルックスに、たまに見せる甘い笑みを持ってしれば、女性社員からの黄色い声援は止まない。
決まったお相手がいないと噂になれば、女性社員たちが我こそはと社長のお近づきになろうと切磋琢磨した。

そんな社長の一番身近な職務が「社長秘書」
我が社の女性社員なら一度は憧れたことがあるだろう…
自分とは身分が違う。
そんなことは、はじめから分かっていたから憧れを持たないようにしていた。


「初恋は実らないって言うよね…」


心とは打って変わり、空は晴れ渡り、雲一つない正真正銘の快晴。
高原 莉央(たかはら りお)は渡り廊下にある大きな窓から空を見上げた。

自分へと向けられる感情には、特別な意味はなく、ごく一般的で、ある一定の感情など無いのも承知の上。
けれど、わずかなことで期待してしまう。

はじめはただ見ているだけでよかった。
次は見かけると挨拶をしてもらえるようになり、少し距離が近づいた気がした。
そして、挨拶の中にたわいもない話を織り交ぜるようにまでなった。

話しかけられるまで距離が縮まる。
だんだん距離が近く感じてくると共に欲が膨らむ。
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