結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
初めてにしてこんなにキスされるとは、なんて日だ。熱に浮かされたみたいにクラクラする。

もうさっさと家に入ってしまえ、と酔っているわけでもないのにおぼつかない足で玄関に向かう私の耳に、ウインドウが下がる音と甘い声が届く。


「おやすみ、綺代」


真っ赤になっているに違いない顔で少しだけ振り向き、まともに目も合わさずに頭を下げると、すぐに玄関のドアを開けた。

もはや普通に名前で呼ばれるようになったな……と頭の片隅で思いつつ中に入り、ドアに背をもたれて大きく息を吐き出した。

社長が紳士の皮を被るようになったのもわかる気がする。思うがままの言動をされたら、たまったもんじゃないもの。今みたいに。

やっぱりある程度の理性も大事よね、と自分の中で結論づける。


授業では教えてもらえない社長の恋愛レッスンは、有意義だったけれど心臓に悪い。

この数時間だけで寿命が縮まったんじゃないかと思うほど、過去最高にドキドキした夜だった。




< 136 / 276 >

この作品をシェア

pagetop