結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「私、ずっと前から達樹さんのことが好きだったんだなぁ……」


こんなに単純なことを今になって理解するなんて、とつくづく頭の固い自分に呆れながら呟いた。

こちらを振り向いた達樹さんに照れた笑みを向け、「ひと目惚れ、だったのかも」と白状する。理性が大事だのなんだのと言っていたくせに、結局これだ。

すると、ふいに右手がぬくもりに包まれた。左手で私のそれをきゅっと握った彼を見れば、セクシーさを醸し出した流し目に捉えられる。


「……今、無性に抱きたい」

「やめてください」

「じゃあ、今夜は俺の部屋に泊まれ」


本能丸出しのふざけた彼を一蹴したものの、甘い命令に逆らう気はない。

心臓の動きを速めるとともに、はにかんでこくりと頷くと、達樹さんは「可愛いな」と独り言をこぼして微笑んだ。

私は照れ隠しで俯き、繋いだ手に、薬指にダイヤが光る左手を重ねる。

これから向かう場所は結婚式場。式は数か月後、入籍に合わせて挙げる予定だ。

その大事な場所の下見を終えたら、彼の部屋でゆっくりと幸せな未来の話をしたい。


この先もたくさん学ぶことがあるけれど、彼と過ごした一年弱の日々で得た、私たちの恋の研究結果をひとまずまとめておくとしよう。

──結論、保護欲高めの社長は甘い狼であり、私は彼を心から愛しているのである。



  ゚*。*End*。*゚


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