結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
どうやら問題はなかったようで、ほっと胸を撫で下ろした。試作の評価も良かったなら、次のステップへ進める。

清潔感のある白い壁と、そこに掲げられた自社ブランドのロゴが存在感をアピールしているロビーを横切りながら、咲子ちゃんが改めて言う。


「本当によかったです~たいしたことなくって」

「ある意味、たいしたことになったような気もするけどね……」


怪我はなかったにしても、研究室であんな事態になって救急車まで呼んでしまったのだから。

皆と顔を合わせるのが気まずいな……と苦笑する私とは違い、咲子ちゃんはなぜか目を輝かせている。


「あのときの社長、すごく綺代さんのこと心配してましたよ。でも冷静に素早く対応してて、さすがだなって感じでした。抱きかかえて助けてくれたところもキュンキュンしちゃいましたし!」


二階の研究室に向かって階段を上りながら、バッグを胸に抱きしめて頬をピンク色に染める彼女につられて、こちらの顔も火照りだす。

私もキュンとしたわよ、もちろん。でも、社長はカッコよかったけど、私はただの間抜けでしかない。

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