彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
お祭りと噂話

どこで誰に見られてるかわからない 見られても困るようなことはないとは思うけど

金曜日定時過ぎ。
いつものように書類を処理中。

今日も“優しい”主任のおかげで書類は山積み。やっぱり定時で終わらないじゃんって量。
そして主任は外回り中。

あいかわらずの鬼っぷりで、金曜日にいつも仕事の量が多いのは気のせいなのか……

定時では終わらない量の仕事を前にため息もつきたくなる。



そこに「桃ちゃん」と声をかけてくれたのは望亜奈さん。

ちょっと泣きそうになりながらも振り向き泣きつく。


「あ、れ?なんかまだ終わんない感じ?」

「はい……」


最近、遅番メインの望亜奈さん、だからあの報告も出来てない。

今日は早番みたいだけど私が実家に帰る予定だから無理。


「なんか最近桃ちゃん、バリバリ仕事してるっていう感じだね~」

「バリバリなんて仕事したくないんですけど」


若干泣き言を言ってみる。


「愛の鞭だと思って頑張って」


なんか違うような気がします。


「望亜奈さんとお話したいんですけど」

「まぁ~今度ゆっくり聞かせてもらうから、頑張って」

「……はい。スミマセン」


やっぱり主任は、鬼です。
いくら休日に荷物持ってくれたって本質は悪魔です。

恨んでやるんだからって思いながらも仕方なく仕事を進める。


やっと仕事を終えたのは7時過ぎ。

たった1時間の残業だけど、これがなかなか短縮できない。

主任が鬼なんじゃなくて、やっぱり私の力不足かな……。

仕事の終了を主任にメールして、返事を待ってから電源を落とす。

返ってきたメールには『おつかれさまでした』と一言。

まぁそれ以上の言葉を主任がくれるはずないんだけどさ。
でもなんかちょっとだけ期待してる自分がいて、その淡い期待を主任は簡単に木っ端微塵に砕いてくれる。


「さて、かえろ。」
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