彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
主任が指定したのは人魚のマークでおなじみのコーヒーショップ。
なんでここ、なんだろ?


「駐車場があるのは近所でここしか思い浮かばなかったので」


なるほど。
車のこと考えてくれたって事だよね。
でも仕事帰りにわざわざこのコーヒーショップにくる理由は?


「いえ、それでお話って?」

「とりあえず、入りましょう」


朝から理由を聞かせてもらえずに、もやっとしたままで。なんていうかこんな主任初めて。

車を駐車場にとめて先に下りた主任についていく私。
こうやって主任の後からお店に入るのは何度めだろう?

年末になって今年あったことを振り返ってみるけど、今年ほど自分の心の中の変化があった年はないかもしれない。

まさかこんな風に主任と一緒にコーヒー飲んだりご飯を食べたりするなんてこと思いもしなかったし……


「天ヶ瀬さんは何にしますか?」

「えっと、キャラメルマキアートで」


当たり前のようにコーヒー代は主任が支払ってくれて席に着いたけど、今日の趣旨は?


目の前でいつものようにコーヒーを静かに飲む主任。
ここに来た理由、そろそろ聞いてもいいかな?


「あの、主任?」

「天ヶ瀬さんは、お正月。家に帰るんですか?」

「あーはい、その予定です」

「そうですか」


え?
なに?
それだけ?


そう言うとまた視線をコーヒーに戻し、カップに手を添える主任。
えっと、私はとりあえずどうしたら?
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