彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
せっかく朔也さんに会えたから「朔也さん、ほんとっおいしかったです」と言うと、


「良かった。ところで、最近アイツ来てないんだけど元気なの?」


一度ふわっと微笑んでから、真面目な顔をした朔也さん。
主任、まさかずっと来てないの?


「え?主任ですか?」

「今年入ってから忙しいって言ってここにも来ないし家にも行ってない」


朔也さんが家に行ってないって、まさか家でもそんなに仕事してるの?


「えーと、元気ですけど。確かに忙しそうです」

「忙しいのは本当だったんだ」

「はい、私も一緒に営業に出てませんし」

「そうなんだ……」


忙しいのを言い訳にしてるわけじゃないと知ってもやっぱり心配だよね?


「あ、でも朔也さんが心配してたって伝えておきますね?」

「あぁそれなら。また今度一緒に来てくれたらいいから」


いつも朔也さんはこういう風に言う。
主任と、一緒にって。


「え?あの、主任忙しそうですし……」

「まさか、休日まで忙しいなんてありえないからね。俺からもメールしておくから、ね?」


優しい言い方なのに、否定は認めない感じで。
いつもそう。

こうやって少し強引に主任との時間をつくってくれているのは。
いつだって朔也さんが言ってくれているから。

朔也さんがどういうつもりでしているのかはわからないけど。
望亜奈さんの言うように、自分から誘ってみてもいいのかな?


「あの、主任に言ってみます!」

「うん、そうしてくれる?それじゃあ、気をつけてね」

「あ、はい。すみません忙しいのに呼び止めたりして」

「ううん、大丈夫。それじゃ、またね」


そう言うと朔也さんは、厨房に入っていった。

あ、口紅、塗りなおしにきたんだった。
早く戻らないと、また潤兄に怒られちゃう。
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