彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
少し緊張したものの、定時までに何とか仕事を終えることができた。

ちょっとだけ慣れてきたのか、緊張のあまりしてしまうミスも少なくなってきたような気がする。

だから今日も早い時間に帰れそう。たぶん。


目の前の主任を見れば、眉間にシワを寄せてパソコンに向かっていて。

心に余裕があるときは人にやさしくなれるってもんです。

ほぼ仕事を終えた私は給湯室に行き、主任にコーヒーをいれようと思い立った。


「どうぞ」

「?」

「あの、難しい顔をされていたので気分転換にと思って」


……ちょっと、でしゃばりすぎ?

主任だってもうすぐ帰るのかもしれないけど、でもあの積み重なっている書類を見ればたぶん残業しそうな勢いで。


「ありがとうございます。いただきます」


主任はコーヒーを見て、一瞬フッて微笑んだように見えたんだけど、私は立っているから気のせいかもしれないけど。

そんな風に微笑んだりしたところを見たことなくて、ちゃんと見てみたいって。好奇心?がわいてきた。


「あの、何かお手伝いすることありますか?」

「……」

「私の方は終わったので、私で出来ることがあればお手伝いします」


って、何言ってんだろ。私。

さっき早く帰れる嬉しいって思ってたはずなのに。


「いえ、今日はもう終わりにします。天ヶ瀬さんの言うように気分転換しないとダメですね」

「はぁ」

「ココにシワよってましたか?」


って自分の眉間を指差して言う主任。


「え?はい。あ、いえ……」


もう、それじゃシワよってましたよって言ってるようなもん。


「朔也にもよく言われるんですよ。それ、なんとかしろって」


うん、朔也さんなら言いそう。

てかプライベートな話をする主任ってはじめてかも?
< 47 / 439 >

この作品をシェア

pagetop