幻影だとしても、
それは体の関係を再び持つ日。

雅人さんから聞いた話によれば、
ミサさんは自分の会社の同僚と浮気をしているらしい。
何度も朝帰りをしてくるし、別にそれを隠そうともしない。
雅人さんが離れられないのを分かっているから。



「ごめん、菜月」



そういったことに耐えられなくなった時、
彼は私を求めるようになった。

最初は私の名前を呼んでいる彼も、
気が付けば“あの人”の名前を呼んでいる。





_____浮気をする人なんかよりも幸せにできる。


_____私ならそんな辛い思いさせたく無い。


_____貴方の1番になりたい。





そんな思いを全部隠して私は何度も繰り返す。



「気にしないで、大丈夫だから」



自分に言い聞かせるように何度も何度も。
貴方の傍にいられるのであれば、
私はどんなことでも我慢すると決めたから。


私が貴方の1番になれなくても、
私にとって貴方が1番であればそれでいい。
そう思えたから。だから、貴方にこの思いは告げないと決めた。
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