キミは俺のモノでしょ


――怖いっ……。


急に……兄の、


声色が

話す速度が

腕に加えられる力が、変化した。


「……なんだ。疲れた顔してたのは、俺が勉強させたからじゃないんだ? 頑張ってると思わせて男と楽しんでたんだ?」

「違……、聞いて、お兄ちゃ……」

「煩(うるさ)い」


そういうと――兄が、覆いかぶさってきた。


「お前さぁ」


――怒ってる。

すごく、怒ってる。


見上げるとそこにあったのは、

兄の歪んだ顔。

歪んでいるのに、美しい顔。


綺麗だけど憎しみのこもった表情で、わたしのことを見下ろしている。


「真面目な顔してほんと見掛け倒しだな?」

「そんな……」

「頭悪いし。俺をイライラさせる天才だし。おまけに他のヤツの前でもそんな顔してるんだ?」

「そんなこと、」

「俺はお前のために……」


お兄ちゃん……?


「俺は……うららのこと、こんなに……」
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