キミは俺のモノでしょ
ふと時計に目をやると、休み時間が終わりかけている。


「無理は禁物な? やばそうなら早退するなり保健室利用するなり、体調管理しっかりすること」


先生に廊下まで見送られたあと教室へ向かうわたしの頭の中は、そのあともしばらく、不思議と先生のことでいっぱいだった。


さっきまであんなに数学のことばかりチラついていたのに。


「……目標かぁ」


きっとわたしが兄みたいになるのは無理だし

いきなり要領よくも生きられはしないだろう。


だけど。


「わたしは……わたし」


その言葉を噛み締めて、今日もまた少しだけ前に進めたような、そんな気がした。
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