たとえ、涙が頬を濡らしても。



『澪春、授業終わったぞ?』


「澪春ちゃん、お昼だよ?」


「…へ?あ、チャイム鳴ってたんだ。」



隣の席の俊稀が自分の机をあたしの机にくっ付けて、ドカッと座るとあたしの頬を引っ張った。



「ちょ…しゅんき、いひゃいって」


『お前が凹んでると、俺らまでテンション下がるんだけど?』


「ちょっと、俊稀くん!」



依知花が頬を膨らませて怒ると、俊稀はあたしの頬から手を離した。


少しヒリヒリする頬…

うぅん。

俊稀の言う通りなんだ。



「ごめん…」


「あ、澪春ちゃん!
今日は久しぶりに放課後、クッキー作ろうよ!?」


『はぁ!?澪春、今日放課後、俺の練習見に来いよ!』


「…依知花が先に言ってくれたから、依知花が優先かな」


『なっ、くっそ〜…!!
じゃ、明日は見に来いよ!』


「うん…」



2人とも、あたしを元気付けようとしてくれている。


だからいつまでも、うじうじ泣いていられない。


こんなに泣いたら冬汰、怒るかな…




< 143 / 241 >

この作品をシェア

pagetop