たとえ、涙が頬を濡らしても。

⇒雨の日に。




「また明日ね!」

そう言ってから1週間が経った…


部活帰りに行っても、いつも会えなくて…

時間のすれ違いなのかな?


あの日から体調が優れてないのかな…


堤防でたまたま会うだけの関係であれば、当然連絡先なんて知るはずもなくて。

たまたま会えるのを待つしかなくて…



「元気ないね…澪春ちゃん」


「そ、そうかなー?」



今日は依知花の料理部にお邪魔している。


朝からずっと雨だからだ。


雨の日は俊稀の棒高跳びの練習ができないのもあって、雨の日は美術室で書くと他の子達の絵を見て落ち込むのが目に見えている。


料理部は3年生がいなくて、2年生が依知花と後二人の女の子と、1年生たちがいる。


今日、依知花は元気がないあたしをお菓子作りに誘ってくれた。



「元気出さなきゃ、美味しいクッキーが作れないよ?」


「ごめんね?部活オフ日に」


「いいのいいの!
基本、月3ぐらいでしかみんなで集まって作らないから」



そう言って依知花は笑ってクッキー型を取り出した。


ハート、星、くまさん、うさぎさん…

といった色々なクッキー型の種類を並べてにんまり笑う依知花が可愛い。


白川にでもあげるのだろうか?



「依知花は白川に?」


「へ?なんで分かったの?」



いや、見てたら分かるよ。


だって、本当に恋してる顔だもん。





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